6つの帽子と並列思考

 久々に会議術の話題を書きます。こんにちは、コンセプトデザイナーの多ぁ望です。

 先日、KaosPilots大学の大本さんの記事を書きました。大本さんからは大学でいかにクリエイティビティを身につけるかというノウハウについてもお話いただきました。

  • Scheme456:インタビューとデザインを繰り返すことで、アイデアが膨らむ。これがHuman Centric Designアプローチ。

  •  その中で、とても興味深い方法論がSixThinkingHatsというもの。

     以前、何かの本で紹介されていたことは知っていましたが実際に使ったことはありませんでした。

     でも実際に使っている方の感想を聞くと、とても効果のある方法とのこと。

     さっそく私も勉強してみました。

    No.574

    会議が変わる6つの帽子会議が変わる6つの帽子
    (2003/02)
    エドワード・デ ボーノ

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     実はこの本、絶版になってしまっています。古本で入手。

     今回もPreziでご紹介します。


     今日のトライ宣言です。

  • Try401:並列思考(パラレルシンキング)を会議に活用しよう。SixThinkingHatsが参加者に並列した視点を与えてくれる。

  • SixThinkingHats(6つの帽子)とは?


     大本さんの体験談を聞いてなかったら、この本は私には響かなかったかもしれません。冒頭でも著者はこんな紹介をしています。

    「遊び感覚が強く、単純すぎる感のため、ためらいを感じるかもしれません。」

     簡単に説明すると次のように整理することができます。

    SixThinkingHatsまとめ

     6つの帽子とは、6つの異なる視点のことを示しています。実際に帽子を用意するのも面白いかもしれませんがこの1枚を会議の参加者と共有し、いつでも見れるようにしておけばOKです。

     本書の比喩で1つの家を4つの角度から4人が同時に「この家はどんな家か?」について議論している説明がありました。

     ある人は「玄関がこんな風になっている。」
     ある人は「窓が1つだけある。」
     ある人は「ウッドデッキがある。」

     というように、意見がばらばらになってしまいます。これが通常の会議です。つまり、個々の言いたいことがばらばらで議論が発散してまとまらない状態です。

     ではSixThinkingHats(6つの帽子)ではどう違うのでしょうか?

     先ほどの4名が、それぞれ1周回ってから議論を開始します。このとき
     「この家の北側はどんな姿でしたか?」
     「この家の西側はどんな姿でしたか?」

     というように、東西南北の風景を共有した上で、それぞれの視点で議論をしていくと、衝突が起こらずに議論をまとめる方向へスムーズに移行できるわけです。

     この東西南北にあたるものが上に示した6つの視点です。

     それぞれ色のイメージに合わせ、対角には対称的な視点が置かれています。英語は大本さんに教えてもらったキーワード。日本語は本書から私がしっくりきたキーワードを当てはめています。

    1.青い帽子(Process:俯瞰)
     = 統制、思考プロセスの組織化など、プロセス全体を構成する視点を持つ。問題点を絞り、テーマを明確にし、結論を出す役割。
    2.赤い帽子(Feelings:感情)
     = 自分の感情や感覚、直観や予感、好み、美意識を重視する。思ったままの感情的な視点を持つ。
    3.黄色い帽子(Benefits:積極)
     = 楽観的な思考を重視し、希望、幻想、夢想なども含めて、前向きに価値判断する。プラス面への視点を持つ。
    4.緑の帽子(Creativity:創造)
     = 創造性と新しいアイデアを重視し、つねに前進することを試み、代替案を考えたり、挑発的に思考する。
    5.白い帽子(Facts:事実)
     = 事実や統計を重視し、客観的になることが要求される。事実と解釈を区別する。どんな情報があるべきか?不足しているか?を問う。
    6.黒い帽子(Cautions:消極)
     = どこが悪いか、間違っているか、あるいは不正確かなど、否定的な疑問、分析を重視し、リスクや危険性、欠点を論理的に指摘する。マイナス面への視点を持つ。

     優れたファシリテーターにはこのような視点を常に持ち、そのときに最適な視点をチームに与えて、会議の方向性を決定していきます。つまり青の視点をファシリテーターが担っています。

     でもそれがチーム全員で共有できたらすばらしいと思いませんか?

    6つの帽子をどう活用するか?


     この方法は、以前「すごい会議」で紹介した会議のフォームに似ています。

  • Scheme142:会議にコメントは不要。質問、提案、リクエストの3つを区別すると議論は生産的になる。

  •  すごい会議では、会議のフォームといって「質問、提案、リクエスト」の3種類で会議は成り立つと言います。

     実は会議のほとんどはこれらに従わず「コメント」の交換で終わっています。これが会議のゴールを遠ざける要因です。予め発言者が自分がこれから話す内容が「質問、提案、リクエスト」のどれなのか意識することで会議はがらっと変わります。

     SixThinkingHats(6つの帽子)では、フォームではなくて視点を予め与えることがポイントです。

     それは単独で用いる場合もあれば、順番に用いる場合もあります。

     例えば、何かの問題が発生したときの会議を想定してみると次のような手順が効果的です。

    1.アジェンダとこの会議で決めたいことを合意する
     ここでは議長がこの会議の目的、決めたい内容、アジェンダを説明し、終了時間の合意を取ります。その際にSixThinkingHats(6つの帽子)が共有されていれば、

    「青の帽子でみなさん考えて下さい。」

     と指示すれば参加者もプロセスに対して考えるように促せます。

    2.発生した問題の共有する
     次に発生した問題の説明を始めるのと、「なぜ、もっと早く打ち上げなかったのか?」と激論が交わされたりします。ここでは感情論は置いておき、事実を共有することを優先します。

    「白の帽子で、今起きている事実を共有することに集中してください。」

     と指示することが可能です。「感情論はやめてください。」と言うよりも指示しやすいですね。

    3.対策案を出す
     続いて、その問題を解決するための対策案を出すべき何ですが、ここでもせっかく出した案に対して「それは無理だろう!」といきなり否定するひとが出てきます。そんなときはこれ。

    「まずは黄色の帽子で前向きなアイデア出しをお願いします。」

    4.懸案事項を整理する
     出てきたアイデアに対して絞り込みを行います。先ほどのような否定的な意見は歓迎です。参加者みなさんにリスクを重視した視点でチェックしてもらいます。

    「黒の帽子で、今までのアイデアを吟味してください。」

    5.両立する解がないか考える
     すると相反する事象などが見えてきて、そのままでは対策案にはならないことが見えてきます。そこで必要なものが創造力です。

    「緑の帽子で第三のアイデアを出してみて下さい。」

     このようなステップを踏むと、いちいちアイデアをつぶす議論にならずにすみます。全員で他のアイデアがないかダイアログすることが可能です。

    6.方向性を決める
     会議では時間が限られています。ときには青の帽子を使って、議論を収束させる必要が出てきます。

    7.展開を共有する
     展開の合意も青の帽子の出番です。

    8.この会議のフィードバックを行う
     ここでは赤の帽子を取り出してみましょう。このような新たな会議スタイルがどうだったのか?素直な感情を共有することでその効果をお互いに実感することが可能です。

    「今日の会議はうまくいったでしょうか?赤の帽子でみなさんの実感を教えて下さい。」

     きっと今までの会議では味わったことのない成果が得られているはず。

     このようにSixThinkingHats(6つの帽子)では参加者に同じ視点を持ってもらいながら進めるので、ディスカッションではなくダイアローグに持ち込むことが可能です。

     本来対立する意見をもったもの同士もそれぞれの視点でものを考えるため、お互いの理解が深まります。これが並列思考(パラレルシンキング)と呼ばれる手法です。

     私も、次の会議で使ってみたいと思います。以下にPDFファイルのリンクを公開します。A4サイズに印刷してカードに入れておくと便利です。

  • SixThinkingHats(6つの帽子による並列思考)PDF版

  • Try401:並列思考(パラレルシンキング)を会議に活用しよう。SixThinkingHatsが参加者に並列した視点を与えてくれる。
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    2013/08/12 (Mon) 10:42 | # | | 編集
    Re: 凄過ぎる(@_@;)

    > とっても、分かりやすく丁寧にまとめられていて、学びはじめの私のような者には大助かり(*^^)v
    > お盆中、じっくり学ばせて頂きます。

    コメントありがとうございます。少しでもお役に立てたら幸いです。

    2013/08/17 (Sat) 21:02 | 多ぁ望@新習慣クリエイター #- | URL | 編集
    6つの帽子

    会議でメンバーの視点を合わせる。大切ですね。
    家を見るたとえはとても分かり易いです。

    メンバーの視点を合わせる際、6つの帽子の考えが
    共有されていれば、とてもやりやすそうです~。

    今回のお話しは「思考の見える化」ですね!
    とても分かり易かったです~。


    2013/08/18 (Sun) 08:29 | ライキ #- | URL | 編集
    そうですね。思考の見える化!

    ライキ、よいヒントありがとうございます。

    思考の見える化

    そのとおりですね。見えない思考を色分けして見える化する。

    参加者の視点=チャンネルが一致すればすばらしいアイデアがあふれてきます。

    2013/08/18 (Sun) 22:50 | 多ぁ望@新習慣クリエイター #TZpNm4HA | URL | 編集

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